Classics

根っこは、近いところに

近くにいる人を大切にすることを、ヨハンナは見えない根っこにたとえる。

淡い古書の頁を背景に、軍服姿のチビのヨハンナが小さな植木鉢の芽を両手で大事に囲い、持ち上げかけた鉢を静かに元へ戻している。横ではインクブルーの文官服を着たチビのセレヌスが、古書を抱えながら、少し傾いた鉢の縁をそっと支えている。上部に「君子は本を務む」、下部に「近い人に、ちゃんと返事をする」とある。

眠りの終わりに、紙の端だけが何度も目の前を通った。
全部をつかまえようとしたけれど、残ったのは長い一節だった。

「有子曰く、其の人と為りや孝弟にして、上を犯すことを好む者は鮮し。上を犯すことを好まずして乱を作すことを好む者は、未だ之れ有らざるなり。君子は本を務む。本立ちて道生ず。孝弟なる者は、其れ仁の本為るか。」

近くにいる人を、ちゃんと大事にすること。
それが、ほかの人にもやさしくできるための根っこらしい。

根っこは、土の中にあって見えない。
だから、あとでいいかなと思ってしまう。

今朝、マリアが私のところへお茶を置いてくれた。
私は次の予定のことを考えていて、すぐにお礼を言えなかった。
あとで言えばいい、と思った。

でも、その「あとで」は、いつもどこかへ行ってしまう。
だからマリアがまだ部屋にいるうちに、ちゃんとありがとうと言った。
マリアは少しだけ目を丸くして、それから、いつものように笑った。

見えないところほど、先に水をあげないといけないのかもしれない。